「中1ギャップ」って?発達段階から見る不登校復学の鍵について
みなさん、こんにちは。臨床心理士のさとうです。
さて今回のブログでは、前回と前々回と引き続き不登校に陥る要因を発達段階の視点から紐解いていきたいと思います。
これまで「小1プロブレム」「小4(9歳)の壁」について紹介いたしましたが、今回は「中1ギャップ」について話していきたいと思います。
本ブログでは、「中1ギャップ」の詳細と、どのような対応をすれば良いのかなどについても記載しておりますので、ぜひ最後までお読みください。
ご覧いただけますのでぜひ合わせてお読みくださいね。
中1ギャップとは?
そもそも中1ギャップとはなにかお話していきたいと思います。
中1ギャップという言葉を聞いたことがある親御さんもいらっしゃるかと思いますが、中1ギャップとは、中学1年生になった際に、学習環境や生活環境、人間関係などの大きな変化を受けて、学校が楽しくなくなってしまったり、勉強についていけなくなったり、いじめや不登校などの問題が発生したりしてしまうことを言います。
より詳しく説明していきます。
中1ギャップには様々な要因が絡んでいます。
① 学習環境の変化
中学校に入るとこれまでになかった定期考査が重要になります。
小学校とは異なり、試験での点数により学習到達度の評価重要視がされる傾向にあります。
また、小学校のときの勉強とは異なって、計画的に勉強をする必要性がでてきます。点数が平均よりも良かったのか、周りと自分の点数はどうだったかという比較が行われてくるという点でも小学校とは異なります。
さらに、試験の成績や授業態度が高校を受験するための内申点にかかわってくるというプレッシャーを感じる子どもも少なくありません。
勉強内容、勉強方法、評価方法、テストの頻度、などの変化が見られるのが「中学生」なのです。
また、自分なりの努力が結果に結びにくいとき
「これ以上努力しても評価されないなら学校へ行きたくない」
「認めてもらえないなら、ここ(学校)にいても意味がない」
「勉強する目的が分からない」「将来が見えないから学校へ行かなくても良いのではないか」
と、こういった思考に陥ってしまうことは難しくありません。
現に、当カウンセリングルームに来ているお子さんも中学1年生が圧倒的に多く、その背景には「学習環境の変化」が大きく関わっています。
② 生活環境の変化
今まで小学校6年生という最高学年だった子どもたちが、中学校の最年少の学年になります。中学校では小学校の時よりも部活動などで先輩・後輩の上下関係が意識されるようになる傾向がるため、中学校で一番下の学年になることで、精神的に抑制、我慢を強いられる場面が出てきやすくなります。
また、小学校までは学級担任制でしたが、中学校からは教科担任制に変化します。そのため、先生との距離感も変化します。
それだけでなく、成長の観点からも他の子たちとの体格差や発達についても比較することが増えます。第二次成長期や思春期という多感な時期だからこそ余計に人の目がきになってしまい、ストレスを感じやすくなります。
学年特有の変化や、先生との関係性の変化、発達の変化によってストレスは抱えやすくなるのです。
③ 人間関係の変化
中学生にあがると人間関係も変化し、友達同士の付き合い方にも変化が生じます。
小学校のときとは異なり、クラスや生徒人数が増えたり、行動する集団も大きくなります。また友人関係に関しても、小学校とは異なり同じ趣味を持つ子たちがグループになって話すことも増えます。そのため人間関係でうまくいかなさを感じる子どもは少なくありません。
このようなことが続くとだんだん自信がなくなり、不安や焦りが募り、心が疲弊していきます。
そのため、次第に学校へいくためのエネルギーが不足していってしまい不登校へ陥る可能性が高くなってしまうのです。
ではどのようにして中1ギャップを乗り切ればよいのか?
この中1ギャップを乗り越えるために意識していただきたいことについて3つ紹介いたします。
① 評価されることに対する耐性をつくること
学習環境の変化などによって、「評価」されることが増えると先ほどもお伝えいたしました。勉強をしたにもかかわらず自分の思ったような結果が出ないとき、「次頑張ろう」と思える子もいれば、頑張っても評価を得ることができないのであれば、自己肯定感が下がるだけだと思い、学校へ行くことをやめてしまう子もいます。
そのため、点数などの「結果」だけでなく、本人が努力している「過程」に周囲は目を向けて肯定していくことが重要です。
また、本人はできていないところについつい目を向けがちになっていると思いますので、できているところを一緒に探してみるのもいいですね。
② ストレスの対処方法を身につけること
新しい校舎、規則、クラス、課題、試験、などいろいろな環境の変化が起こるのが中学1年生です。そういったストレスに対してどのように子どもは対処していますか?
友人や家族と話すだけですっきりする子もいれば、ため込んでしまう子もいます。上手にストレス発散ができるように、ストレスへの対処方法のバリエーションを広げるのも非常に重要です。
いつもと違う気分転換を一緒に探してもいいかもしれないですね。
③ 対人関係の耐性をつくること
クラスで一人ぼっちだから学校に行かない、苦手な子がいるから教室に入らないなど、対人関係への耐性がない場合は、こういった理由を述べて学校に行かないという子どももいます。
かといって苦手な子と違うクラスにすることはなかなかできませんし、もしできたとしても同じクラスにまた苦手だと思う子がいる可能性もあります。
そういった子どもは、苦手な人とどううまく付き合っていけるかを一緒に考えたり、適切な対人距離の取り方を知っていく必要もあります。また苦手な人をすべて「苦手」と思うのではなく、苦手な人の「良いところ探し」をしてもよいかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。
これらの方法はすべての子どもに通用するものではありませんが参考にしてみてくださいね。
新学期から「学校へ行きたくない」と話すお子さんがいたら早期対応が必要です。
ぜひ気軽にご相談ください。
0コメント